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20221126

Aso-4

■巡検スケジュール■
11/26 広島大学(6:20)→吉和SA(7:30)→山口市立柚野中学校跡(8:50)→美東SA(12:40)→美祢市化石館(13:40)→美東SA(16:40)→広島大学(19:00)

阿蘇は、約27万年前から約9万年前にかけ4回,大規模な火山活動により大量の火砕流を噴出し,古い方からAso-1〜Aso-4と呼ばれる。

約9万年前に起こった阿蘇山(熊本県)の巨大噴火で発生した火砕流の堆積物を、約170キロ離れた山口市北東部の地層から見つけた山口大の辻智大先生に現地でご案内頂けることになった。

 Aso-4火砕流(山口市立柚野中学校跡)

Aso-4は,阿蘇カルデラを形成するにいたった4回目の巨大噴火に伴う火山灰類。

角閃石斑晶を含むことで,他の阿蘇火砕流 堆積物から区別することができ,噴出年代は約 9万年前とされる(渡辺, 2003)。

山口市の柚野中学校跡に到着。

中学校跡の横に道路を通すための工事をしていたところAso-4が偶然発見されたとのこと。

工事現場で見学させてもらうため,ヘルメットを装着して準備万端!

諸事情により県地学部会の先生方は少し遅れるとのことだったので,まずは研究室のメンバーだけでお話を伺うことに。

いざ進むと写真のように砂袋の下に周りよりも明るい層が見えた。これは,AT火山灰と呼ばれる姶良カルデラから約2.5万〜2.4万年前に噴出した火山灰とのこと。

ATは,直径2000キロの地域に分布し,広域テフラ研究の先駆けとなった地質学的にも重要な火山灰である。

なぜ火山灰とわかるのか,というと上下の地層は佐波川に由来する河川成堆積物として礫を含むのに対し,火山灰層準には礫が含まれないことと,火山灰起源の鉱物粒等が含まれること。

当初Aso-4が見られた露頭は工事の進行に伴って消失し,唯一残っていた露頭は法面の保護工で覆われてしまっている。

辻先生が保存されていたAso-4火砕流層の剥ぎ取り標本を見せていただく。

斜交葉理や級化構造になっている様子が見られ,河川特有の構造かと思っていたものが火砕流でも見られてびっくり。

地学部会の方々も到着し,再度,山口大学の辻先生に詳しい説明をしていただいた。

個人的には比較的大きな河川の礫だけでなく,火砕流に含まれる粒子や角閃石もインブリケーションを示すことに驚いた。

さらに法面上部のアカホヤ火山灰もご紹介頂いた。

アカホヤ火山灰は,K-Ah,AKとも呼ばれ,約7,300年前の鬼界カルデラの大噴火に伴って噴出した火山灰。

特に九州南部では,縄文時代の草創期と早期とを分ける重要な鍵層の一つとされる。

一つの露頭で,Aso-4(9万年前)〜AT(3万年前)〜AK(約7,300年前)が見られるのは,全国でもここだけかも?とのこと。

採取したアカホヤ火山灰に水を加えて泥の成分を洗い流すと,きれいな鉱物粒子を観察できる。

 Aso-4中の炭質物(宇部火山灰層)

続いてAso-4中の炭物質を観察するため宇部市に移動。

表面の風化した部分や落ち葉を取り除く一同。

すると周囲とは明らかに違う真っ黒な層が!

これは倒木した木が火砕流によって焼かれることで炭と化したものらしい。

分析の結果,これらの木は火砕流に包まれた状態で300〜400℃で燃焼したことがわかっているとのこと。

簡単に手で剥ぐことができた。BBQ欲を掻き立てられる。

宇部の山の中のなんでもない露頭の前でみんなで記念撮影。

 美祢市化石館

午後からは美祢市化石館。

令和4年11月末まで,秋吉石灰岩から採取されたアンモナイト類の化石について展示中。

今回はこちらで化石の発掘体験。

化石発掘セット。砂袋の上に石を置いて,ノミとトンカチでコツコツとやるのです。

美祢市化石館のアンモナイトの巨大オブジェの前で記念撮影。

化石館前の道路には,美祢市に由来する化石のオブジェが展示されている。

 美祢市化石採集場

三畳系美祢層群は,美祢市西部では下位より平原層,桃ノ木層,および麻生層に区分され(長谷,1950),化石採集場周辺に分布するのは桃ノ木層とされる。

この露頭より東アジア三畳系初のディキノドン類の化石が発見されたことにより,現在,追加調査のため化石採集場は閉鎖中ですが,特別に見学させていただきました。