槍ヶ岳
長期休暇を活かし,普段は行けない中部地方への巡検を計画。登山者の憧れである槍ヶ岳登山を敢行した。
1日目
午前7時に広島大学を出発し,吉備SA,西宮名塩SA,多賀SAで休憩を挟みつつ,14時に岐阜県上麻生にある日本最古の石博物館に到着。
3年前の雪辱(休館日)を無事果たすことができた。岩石を専門とする博物館は日本でも数少なく,岩石好きにはたまらない博物館であった。マスコットキャラクターであるれっき―君,れっきーちゃんにもなれるよ!!
博物館を堪能した我々は飛水峡を目指す。飛水峡のほとんどは美濃帯堆積岩類を構成するチャートと砂岩からできており,飛騨川の浸食が下方へ進むことにより形成された景観である。濁流時に形成される甌穴を観察することもできる。
絶壁ぎりぎりまで進み露頭を撮影。
褶曲するチャートをよく観察することができた。
飛水峡をあとにし,国道41号線を北上し高山市内へ,でかバロで翌日の食料を調達し,国八食堂へ向かう。白味噌文化に慣れ親しんでいる我々にとって,インパクトのあるホルモン定食であった。
腹ごしらえを終え,毎年お世話になる民宿富久の湯へ宿泊。翌日の登山に向けて英気を養った。
2日目
ついにやってきた槍ヶ岳登山敢行の朝。天候はくもり,気温18度とやや肌寒い。
午前5時15分民宿富久の湯を出発し鍋平駐車場を目指す。
鍋平駐車場を午前5時30分に出発し登山を開始。
午前5時45分新穂高ロープウェイ乗り場を通過し林道に入る。
午前6時15分林道から穂高平夏山登山道に入る。
午前6時35分穂高平小屋に到着し小休憩を取る。
木を曲げている人の図
取って良いのは写真だけ,拾ってい良いのはゴミだけ,残していいのは想い出だけ。
午前7時30分白出沢出合に到着,水場があり給水を行う。
白出沢出合で林道が終わり登山道となる。
午前8時30分滝谷出合に到着。滝谷花崗閃緑岩がゴロゴロと転がっている。滝谷は岩体の中心部と考えられており,標本地とされている。
滝谷のダイナミックさに圧倒されながら軽食を取る。
よし,下山時にはあの奥の露頭まで絶対に行こう,絶対に…
午前8時45分槍平小屋に向けて再出発。ここから標高が一気に上がってくる。かなりつらくなってきた…
午前9時15分に南沢を通過,槍平小屋までもう少し。
午前9時40分槍平小屋に到着。小休憩を取る。
午前9時55分槍平小屋を出発。さらに険しい登山道が続く。
脚がもう上がらない…自分と戦いながら午後12時05分千丈沢乗越分岐に到着。
遠くに雪が残る沢が見える。
ここから飛騨沢を登る,ガスが多く周りが見えないがカールの中を突き進む。
「ここが一番きつい,頑張れ!」登山者からの励ましを受ける。
「山頂に着いてもガスか…」心が折れそうになってた我々に15時ごろは晴れると下山者の方からの情報が!山ってこんなにもあたたかい。
一瞬の晴れ間
ここの先に槍があるはずなんだ…
午後14時飛騨分れに到着,ガスの中に見え隠れする穂先が!あともう少しだ…
午後14時20分槍ヶ岳山荘に到着。あとは晴れることを祈るばかり。
山頂への気持ちを抑えながらチェックインを済ます。
晴れた…ほんとに晴れた!!!
午後15時10分槍ヶ岳山頂を目指し山荘を出発。本当にここを登るのか?
我々はなんてところにいるのだ…
強風の中何とか登頂
本当に登頂できてよかった…
なんだこの世界は…
眼下に槍ヶ岳山荘を見下ろす
ブロッケン現象
人も少なく山頂を満喫して下山。
険しい道を命がけで下る。
山荘到着時には見えなかった殺生ヒュッテ。本当にスプーンでえぐったようだ。1時間ほどで山荘へ帰着。
夕日に照らされ始める穂先。18時頃に夕食を取り早めの就寝。
3日目
眠れたような眠れてないような感じで午前4時半ごろに起床。それにしてもものすごい風だ。案の定朝日なんて見られるわけもなく午前5時半ごろに朝食をとる。
午前6時40分槍ヶ岳山荘を出発。ガスの中,小雨も降っている。写真を撮る余裕もなく2時間半ほどで槍平小屋まで下山。雨宿りも兼ねて眺めの休憩を取る。午前9時45分に槍平小屋を出発。標高が低くなるにつれて晴れ間が見えてくる。午前10時20分滝谷に到着。
これぞフォトジェニック
これぞ滝谷花崗閃緑岩。安山岩質の岩石を捕獲している。
花崗岩と捕獲岩の接触部が塩基性となっている岩石。
1時間ほど滝谷で露頭観察や調査を行った。午前11時40分滝谷を出発。
午後1時20分穂高平小屋まで下山。あと少し。
午後2時20分下山届を提出。
槍ヶ岳から一気に駆け下りた疲労感。
下山後うまい棒食べ放題で有名?なひがくの湯にて疲れを癒す。
予定より早い下山のため神岡町船津高原川まで出向き眼球花崗岩を観察。眼球状に見えるピンク色の鉱物はカリ長石であり,圧力変成を受ける際,石英などの変形しにくい鉱物は破壊されるがカリ長石は変形しながら巨大結晶となる。
少し上流に車で移動すると国道41号線沿いに石灰質片岩の見られる露頭がある。河原には泥質片麻岩や上流から流れ着いたであろう滝谷の花崗岩や穂高の安山岩,船津の花崗岩など様々な岩石が見られた。
その後高山まで戻り国八食堂へ。名物の豆腐定食に舌鼓を打つ。
でかバロで食料を調達し,富久の湯へ宿泊。晴れていたら星空の撮影も進んだであろうが薄雲が多く断念。
4日目
広島への帰路の途中,世界的に有名な根尾谷断層に向かう。
根尾谷断層は濃尾地震を引き起こした横ずれ断層であり。濃尾地震ではマグニチュード8を記録し7273名の尊い命が失われた。現在その一部が博物館として保存されており実際の断層の断面を見学することができる。博物館では地震体験館において震度6レベルの地震を体験することができる。
根尾谷断層を展望できた。
中地区には実際の畑のずれを観察できる場所があった。畑の境目に低木が植えられている。
その後昼食に味噌カツを食べ,岐阜羽島駅で鹿児島に帰る卒業生を送り,広島への帰路につく。午後8時半に無事に広島大学に到着し巡検を終えた。