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20180701

倉橋島巡検

倉橋島は広島県呉市の南部に位置し、主として広島花崗岩からなる。今回は倉橋島、及びその南部に位置している鹿島で見ることができる地学現象や地質の状況を確認、調査する。

 音戸第二大橋からの一枚。画像の橋は音戸第一大橋である。

 桂浜(採石場跡地)

桂浜は倉橋島南部に位置する。かつて採石場であったこの地では、大規模かつ新鮮な露頭が見られる。ここではマグマの流動によるシュリーレン構造や、鉱物の晶出順序を示すペグマタイト、グラフィックテクスチャーが確認できた。

 シュリーレン構造が確認できた。この筆を走らせたような模様のことから、別名墨流し構造とも呼ばれている。写真下部の人と比較するとそのスケールも伝わる。

 シュリーレン構造が見られる露頭と同じ露頭で、写真左手の壁の左上から右下にかけて亀裂が入っているのが確認できた。これは花崗岩の節理であり、右手の壁の右上から左下にかけても同じ様に節理が入っていた。

 上の画像から少し北上した地点での広島花崗岩の岩相。長石のへき開が確認できた。

 上の画像と同じ地点でペグマタイトが確認できた。ペグマタイトは、マグマがほとんど固結して揮発成分に富むようになったマグマ残液から晶出した粗粒な岩石のことである。

 複数種類の鉱物が同時期に晶出したことによりできた構造、グラフィックテクスチャーが確認できた。

 花崗岩などの岩石に見られる玉ねぎ状構造になりかけている様子。このまま風化が進んでいくと、たまねぎの皮をむくように同心円状の薄殻となって、風化を受けた部分が表面からはがれていくようになる。

 昼食(海里部)

 お昼は海里部にて生しらす丼。期間限定で提供しており、お店に入るまでにはおよそ20組待ち。今回はここで一番時間を使ったかも知れない。 しかし待った甲斐あって、いただいた料理はとてもおいしい一品であった。上の画像が生シラス丼、下の画像が三色ちりめん丼である。

 上脇

上脇は倉橋島の南端に位置し、ペグマタイトとシュリーレン構造が連続して見られた。また、花崗岩と漸移している閃長岩も確認できた。

 花崗岩の地層中に連続するペグマタイトとシュリーレン構造が確認できた。また、画像のようにペグマタイトをシュリーレン構造が挟み込むような層が、しばらく露頭として確認できた。

 花崗岩から閃長岩へと漸移している様子。画像の右側、カリ長石由来のオレンジ色が濃い岩が閃長岩である。

 閃長岩の岩層。閃長岩はカリ長石・有色鉱物を主成分とする完晶質粗粒の深成岩のことで、石英が非常に少ない特徴がある。

 上の写真から少し北上した地点で確認できた岩層。地質図上では閃長岩の岩脈となっているが、上の写真の岩相よりも濃い赤色をしており、閃長岩と断定するのは難しい。持ち帰って調べることに。

 上脇から海岸線を通って帰る途中、アプライトの岩脈が2本入っている露頭を確認できた。アプライトはこのように岩脈状に産出することが多い。

 アプライトの岩層。組成は花崗岩と同じようであるが、構成する結晶は非常に細かいものであった。

 鹿島

鹿島は地質図では広島花崗岩を主とした島とされてあるが、一説によると領家花崗岩帯の可能性もあり、今回の巡検でサンプルもいくつか持ち帰る予定である。

 上の画像は鹿島の西部の露頭。海食洞となっていた。ここは地質図によると流紋岩質の岩脈となっているが、下の画像を見る限り等粒状組織に近い構造であった。これまで見てきた広島花崗岩と比較すると黒雲母の割合が少なく、長石、石英が殆どを占めている花崗岩であった。

 上の画像は鹿島南部の岩相である。この地点の露頭は画像のように風化が進行していた。下の画像は干潮時にしか見られない比較的新鮮な岩盤であり、鹿島西部の露頭と比較すると有色鉱物も多く見ることができた。