大歩危〜横浪〜竜串巡検
今回は,付加体堆積物に関連した地質や岩石の見学として,まず吉野川沿いの大歩危峡(徳島県)を見学してから南下し,横浪半島の五色の浜にてメランジュ〜チャートへと変化する岩相を見学。翌日は,
1日目 大歩危〜横浪半島
初日の午前中は埼玉県の長瀞と並んで有名な大歩危峡の見学。大歩危・小歩危で見られるのは,中央構造線の南側に沿って分布する三波川変成帯に属する緑色片岩。東は埼玉県あたりから西は大分の佐賀関まで続く,延長1,000 kmにもおよぶ日本最大の変成帯。
含礫片岩(大歩危峡)
道の駅「まんなか」の駐車場に車を止め,売店から川下り用の階段を下りていくと,大歩危峡で見られる含礫片岩が地質学的に大変貴重という案内石碑が出現する。
実際の露頭では,緑色片岩の間に挟まれるような形で,ぺしゃんこになった礫が含まれている様子を観察できる。
それでなくても,風光明媚な場所です。
五色の浜メランジュ(横浪半島)
午後からは土佐町の横浪半島の五色の浜に移動して,四万十帯のメランジュを見学。横浪メランジュは,プレートの沈み込みによって付加体堆積物が形成されることを証明した場所として,国の天然記念物に指定されています。
海岸に下りた辺りでは,泥の中に砂が混ざった陸源堆積物が観察できる。
チャート壁を目指して南下する途中に,マッドインジェクションと呼ばれる砂の中に泥が注入された痕跡を観察できる。
薄片にしてみると泥岩と砂岩の境界が断層の場合と異なり崩れて粘土になっていない事が観察できる。(バーは0.6mmを示す。)
枕状溶岩と思われる岩石があったのでそちらも薄片にしてみた。針状の斜長石が観察できる。(バーは0.6mmを示す。)
2日目 竜串〜穴神鍾乳洞
竜串(土佐清水市)
足摺宇和海国立公園に属する奇勝で,四万十帯のタービダイト層がビッグスケールで海岸に露出している。
西側の桜浜海水浴場側は,いきなり崖っぷちとなっているスリリングな遊歩道から始まる。
海食台となったところでは,砂岩中の堆積構造がよく観察できる。
漣痕が見られる層もある。
生痕化石の部分だけが浸食から免れてできた蛙の千匹連。
なんだか長い生痕化石。
「絞り幕」と呼ばれるスランプ構造とおぼしき場所。
宙に浮いて見える球状コンクリ−ションの破片。
落窪海岸(高知県土佐清水市)
こちらは竜串に比べると泥岩優勢な岩相。
砂岩の上にはくっきりと漣痕が残る。
美しい砂泥互層がどこまでも続く景色。
海食台から露頭へと連続的に地層が立体的に広がる様子を感じることができる。
枕状溶岩(高知県四万十市)
四万十カントリークラブ入り口に見られる枕状溶岩の露頭。
穴神鍾乳洞(愛媛県城川町)
穴神鍾乳洞は,三波川変成帯に属する石灰質片岩の中に形成された鍾乳洞。