トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ ログイン

20121006

隠岐の島巡検

島根県隠岐の島に行って参りました。隠岐は大山などとともにジオパークに指定されており,隠岐片麻岩、マントルゼノリス、ピソライト・・・と観察ポイントもてんこ盛りでした。今回は島前の西ノ島、島後全体に行ってきました。

隠岐ジオパークHP http://www.oki-geopark.jp/

 巡検資料

隠岐島.docx(350)

 島前(中ノ島) 10月6日

西条を朝4時半に出発し,375号線から庄原を経由して,国道183号線へ。

途中なぜか国道314号線に入りおろちループを経由して国道432号線で米子へ。島根半島の七類港に着いたのが8時半,この時点で沈没気味2名。。。

フェリーは七類港10時半発で,約2時間半で島前西ノ島別府港に到着(12:05)。

車で赤尾スカイラインをはしり、赤尾展望台へ。通天橋、摩天涯が一望できる。牛さんと絶景を眺めながらお昼ごはん。

国賀海岸遊覧船

国賀海岸遊覧船にのり、摩天崖→通天橋→天上界→屏風岩などを海上から観察(13:10)。

摩天涯。アルカリ玄武岩の溶岩層、スコリア層が明瞭に観察できる。最も高いところは海上から257mにも達する。

摩天涯の絶壁っぷりと大きさは半端ない。

通天橋。大きな海食洞でる。どれくらい大きいかというと、船でくぐりむけることができるくらい大きい。アルカリ玄武岩(黒っぽいところ)に粗面岩(白っぽところ)が貫入している。

天上界。

象のような岩。

屏風岩。

波が穏やかだと洞窟めぐり(海食洞めぐり)をしてくれます。とくに明暗(あけくれ)の岩屋は250mもあり、中は真っ暗になる。ぎりっぎりのところをはしるおじさんの技術に感服。

洞窟からタイムスリップ。

二十数個の海食洞。

行きの車(3時間半)、フェリー(2時間半)、そして遊覧船。激しい酔いで全くこの絶景を楽しめないかわいそうな後輩。

焼火山(たくひさん)

隠岐の島の島前、島後はともに外輪山を有する火山島です。とくに島前の3つの島は外輪山が水没を免れてできた島で、3島の内海はカルデラの海です。島前の中心に位置し、最後の大噴火でできたのがこの焼火山なのです。外輪山っぷりを実感したく、1時間歩いて展望所を目指しました。しかし展望所が意外に低くて島全体の様子はよくわからず・・・残念(16:00)。

 島後 10月7日

この日は一日かけて島後の観察ポイントを回りました。予定を変更して、まずは五箇の採掘場から。島後観察マップ.pdf(636)

五箇の採掘場

ここでは隠岐粗面岩―流紋岩類を観察できるはずでしたが、年月の経過とともに、採掘も植物の成長も進み、下位の粗面岩質火山礫凝灰岩はほとんど見ることはできませんでした。写真に見えているのは流紋岩溶岩です。

福浦トンネル

火砕サージ層からなるトンネル。明治時代に手掘り(大きいトンネルは手掘り&ダイナマイト)で作られているため土木建築としても価値があるところです。

久美海岸

隠岐流紋岩(板状アルカリ流紋岩)の流理構造が観察できました。

岩石レベルでもみられる流理構造。

海岸を進むと海食洞があり、遠くにローソク島を見ることができます。

先生の頭からでるローソク島。

白島海岸

白島海岸にも流理構造がみられますが、今回は展望台に行って眺めを楽しみました。時間があれば白島海岸遊覧船も乗ってみたかったなぁ。

海苔田鼻海岸

黒色の粗面岩に粒状節理が発達している鎧岩、兜岩が有名。今回は兜岩の上から鎧岩を観察しました。山道、きつかった。。。

鎧岩に向かう道の入り口にあった六角柱状の玄武岩。めちゃでかい。

鎧岩は粗面岩が固まって上にくぼみができ、そこに玄武岩が流れて固まってできました。

採取した粗面岩と玄武岩。玄武岩にはゼノリスとしてかんらん岩が含まれていました。

隠岐片麻岩(泥質片麻岩)の採取

河原に降りて泥質片麻岩を採取しました。泥質片麻岩は隠岐片麻岩の中でも代表的な片麻岩の1つです。隠岐片麻岩は飛騨変成帯に属し、飛騨片麻岩と並ぶ日本最古の石です。

浄土ヶ浦海岸

浄土ヶ浦の大阪島には、火山岩類中に挟まれる泥岩、砂岩、凝灰岩互層が露出しています。

その中でも、凝灰岩層には多くの5〜10mmほどの火山豆石(ピソライト)が含まれていました。

荒れ狂う日本海をバックに。

マントルゼノリスを含む玄武岩

浄土ヶ浦から海岸沿いに南に下がると、マントルゼノリスを含む玄武岩が採取できる浜辺があります。

必死に大きく、綺麗なオリビンが入っている岩石を探しました!!

大久の犬島

突如出現するグリーンタフ(緑色凝灰岩)。緑になるのは変成を受けているためです。

今回観察したものは2600〜1900万年前、島後がユーラシア大陸の一部だったころのものです。

まさかの大物!

隠岐片麻岩(片麻状花崗岩)の採取

有木川にそってどんどん車を走らせると、片麻状花崗岩(花崗岩質片麻岩)、ザクロ入り片麻状花崗岩を採取することができる露頭があります。

片麻状花崗岩は隠岐片麻岩の中でも泥質片麻岩と並ぶ代表的な片麻岩です。変成度が高く、かなり融解がすすんだようなので片麻岩というよりはもはや花崗岩(領家花崗岩のような感じ)の様なので、花崗岩質片麻岩、片麻状花崗岩などの呼び方も研究者によって様々なようです。

片麻状花崗岩には、白雲母(キラッと光っているところ)が形成されています。

これがザクロ石を含む片麻状花崗岩。少し赤いところをがザクロ石ですが、かなり風化していました。

このザクロ石は20億年前のものらしい...ただ、露頭がすごくわかりにくかった。

岸浜の黒曜石と珪藻土

今回お騒がせしたのが、この黒曜石と珪藻土。

なんと、黒曜石は風化すると白くなりかつ軽くなるので、まるで見た目は珪藻土のようになります。一方、珪藻土は変成を受けて再結晶するとなんと黒曜石のように黒くなるのです。

この2つは基本的には両方ともSiO2からなり、成分的にはほとんど違いがありませんので、成因の違いで区別されています。

まず、こちらが露頭で採取した黒曜石。表明が白く風化していることがわかります。

そして、これは浜で拾った黒曜石。露頭のものより深い黒色で、かつ黒曜石独特のガラス質な様子を観察できました。

ちなみに、流紋岩質の凝灰岩の中でも変成度が弱い(温度が低くて溶けなかった)ものは黒曜石にはなれず、ただの縞々が残り、溶結凝灰岩となります。

珪藻土の採掘場へ移動。

こちらが紛らわしかった珪藻土が変成を受けて再結晶したもの。ガラス質な割れ方をしますが、色は黒というより深いブラウンであり、よく見ると質感が異なることがわかります。

これが珪藻土。黒曜石が風化したものよりもざらざら感があり、若干黄色〜うすい緑色を帯びています。

ちなみに、もっと純度の高い黒曜石がこれ(研究室にあったもの)。やはり黒曜石独特のぬめっとした質感が全く違いますね。

 島後 10月8日

この日は朝からフェリーに乗って境港を目指すだけ。

西郷湾の出口のところに見える絶壁 は ,ジオパークみどころマップにも掲載されている「岬の爆裂火口」。

約 55 万 年 前 に 噴火口の東側半分が水蒸気爆発によって吹き飛ばさ れた火口跡だそうな。

島後から島前に向かう途中に見える三郎岩。

おまけ写真集

お昼ごはんはさざえむらでさざえ丼を食べました。ただ、さざえのダミーとしてなんとしいたけがたくさん入っていて。。。騙されました(笑