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20130525

山陰巡検(金城町〜須佐ホルンフェルス〜萩〜秋吉台)

 金城町「花崗岩ペグマタイトと匹見層群の流紋岩」

ここでは石英の自形の巨大結晶の産状の観察を行った。

金城町一帯には匹見層群(約9000万年前に形成された流紋岩質凝灰岩・溶結凝灰岩)が分布している。

流紋岩質溶結凝灰岩

そこへ約8000万年前に貫入した花崗岩(広島花崗岩類)中に,脈状にペグマタイトが分布している。

ペグマタイト中に見られる巨大な石英の自形結晶

 馬谷城山鉱山「真砂(まさご)花崗岩中のペグマタイト」

石英・カリ長石・斜長石のサンプリングを行った。

事務所の玄関にある巨大石英ペグマタイト。現在は鉱山を爆破しながら作業を行うため,このサイズのものはなかなかお目にかかれない。

 須佐ホルンフェルス「中新世須佐層群と高山(こうやま)斑レイ岩体」

須佐のホルンフェルス

美しい須佐のホルンフェルス

ここには白亜紀の阿武層群(流紋岩―デイサイト溶結凝灰岩),須佐層群(砂泥互層),山島火山岩が分布しており,これらを高山斑レイ岩が貫くことで600〜700mの範囲に接触変成作用を与えている。

須佐のホルンフェルスとして有名な畳岩と千畳敷は,実は変成度が低く,ソールマークやラミナの観察も行えた。

1つの泥層のなかでもよく見ると級化構造が見られ,いくつかのユニットからできていることがわかる。粒子が細かいところから差別侵食を受けている。

この砂泥互層は乱泥流による海底谷充沈物(タービダイト)とされている。その証拠に陸棚斜面をえぐる様なチャネル堆積物が見られた。畳岩の西側にある海苔石ではこの反対側のチャネル構造が見えており,全体として巨大なU字型となっていると考えられる。

高山の斑レイ岩

高山の山頂付近には斑レイ岩が分布し,中でも磁気の強いものは「磁石石」として国の天然記念物として認定されている。

マグネピップで磁気を調べている様子。磁石は引き寄せられるが,鉄などの金属がくっつくほどの磁性は確認できなかった。

磁気を帯びた原因としては,もともと磁鉄鉱成分が多いためという説や,度重なる落雷による説などがある。

 笠山「安山岩からなる溶岩台地とスコリア丘と,玄武岩」

萩の笠山は広く平らな笠の部分が溶岩台地であり,中央の高い部分がスコリア丘からなる単成火山(阿武火山群)である。日本にある単成火山群は3つのタイプに分けられ,阿武火山群は玄武岩マグマと安山岩マグマからなり,このタイプは日本はもとより世界的にもほとんど知られていない珍しいタイプのものである。

笠山は11,400年前に玄武岩質安山岩が噴出し溶岩台地を形成したのち,8,800年前のストロンボリ式噴火で安山岩質スコリアが積み重なりスコリア丘をつくった。

菊ヶ浜からみた笠山

笠山の火口のスコリア

笠山周辺には同じような溶岩台地でできている島が存在するが,そのほとんどが安山岩質で,玄武岩質の島は羽島だけである。

周辺の溶岩台地

安山岩質であるのに溶岩台地を形成する理由としてはマグマの組成が金属原子に富んでいないからだとされている。

 秋吉台「カルスト台地と博物館」

秋吉帯の石灰岩は,ペルム系の非(弱)変成付加体であり,秋吉地域のほかにも島根や岡山にも分布し,有名な帝釈峡も秋吉帯に含まれる。

道中にある帰り水ウバーレ。大雨が降ったあと数日間だけ水がわき出て湖になり,その後徐々に水か帰っていき,再び陸になる。ここの石灰岩は堆積順序が逆転していることから,地向斜理論が主流だった時代には形成過程として様々な論があった。

ドリーネの中心に立ってみた

展望台周辺(360°ムービー)

科学博物館前(360°ムービー)

 おまけ

今回の巡検では,偏光フィルターの使い方もマスターしました。

偏光フィルターなし

偏光フィルターあり

自家用車で参加するガッツある先輩

冷風口に吸い込まれる人

秋吉台で,ハイチーズ