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20190329

周防大島巡検

2018年度最後の巡検は山口県の周防大島(屋代島)へ。今回は周防大島に渡ってすぐの田ノ尻鼻で、領家帯の構成鉱物岩類や、球状花崗岩を観察しに向かった。

 領家古期花崗岩

海岸に沿って歩いていると、領家古期花崗岩と考えられる岩体を確認することができた。領家帯による変成作用を受け、定向配列した鉱物による片理が認められる。

花崗岩と泥岩とが、複雑に入り組んでいる様子が至る所で見られた。領家古期花崗岩は、元からあった地層に貫入した花崗岩のことを指す。しかし写真のような様子から、元からあった泥やチャートなどの堆積物が部分的に花崗岩化した結果、このように両者が入り組んだ構造になったのではないかと考える説もある。

 球状花崗岩

海岸沿いをしばらく歩いていると、球状花崗岩を確認することができた。球状花崗岩は、花崗岩マグマの中で他の岩石の岩片や、マグマから晶出した有色鉱物を核として、その周囲に有色鉱物層と無色鉱物層とが交互に同心円状に結晶化した構造を持つ岩石である。

球の大きさはまちまちで、下の写真は比較的小さい球状花崗岩である。

寄ってみると、有色鉱物層と無色鉱物層が交互に結晶化している様子が分かりやすい。

球状の部分は風化しやすく、付近には球体のまま取れているものも多くみられた。

 玉ねぎ状風化

球状花崗岩が多数確認できた場所から少し離れたところで、玉ねぎ状風化が顕著に見られる地帯があった。玉ねぎ状風化は、花崗岩の摂理に沿って、岩石の外側から玉ねぎの皮がはがれるように風化していく風化の形態である。

玉ねぎ状風化によって取り残された岩石。上にいる人が小さいわけではない。岩石がとても大きいのである。

玉ねぎ状風化が起こっている地帯のすぐ近くで、片理が斜交しているような構造が確認できた。調べてみると、片理面は初生的な堆積構造を含む既存の面構造に沿う結晶成長、または再結晶によって作られると考えられている。そのため今回も、既存の堆積構造に沿って片理面ができたと考えられる。

桜の季節。元気な新M2さん。

先ほどと同様のプロセスで、元からあった断層が再結晶して花崗岩化している様子が確認できる。

領家新期花崗岩の岩体中にペグマタイトを発見。成長した白雲母の結晶も見ることができた。

帰り道はリアルサスケ。この巡検の一週間前に靴を水没させてしまった新M1さんが,今度こそはとチャレンジ。今回はうまく渡りきった模様。

お昼は地元で有名な力寿司にて、名物のジャンボ寿司を注文。ネタがデカすぎるため、切り分けるナイフもついている。ネタの大きさに合わせてワサビの量も多かったが、とてもおいしくいただきました。