山陰海岸ジオパーク巡検
本来であれば,毎年恒例北アルプス巡検の予定であったが,天候不良によりキャンセル…
急遽予定を変更して,ユネスコ世界ジオパークにも指定されている山陰海岸の各地を巡検した.
1日目
鳥取砂丘
まずは鳥取砂丘へ.午後からは雨の予報だったので,少し早めに朝7:00に大学を出発し,山陽道→岡山JCT→岡山道→北房JCT→中国道→佐用JCT→鳥取道にて11:30に着.
古砂丘の層を発見.続成作用を受けて砂が固結し,不透水層となっている.
砂山を駆け上がる男たち.実はこれ吐きそうなくらいしんどい.
砂丘の頂上には美しい風紋が.鳥取砂丘の砂は粒径が小さい.また,砂の種類から堆積岩由来のものが主であると推定できる.
雨が降ってきたので12:30に鳥取砂丘を出て,近くのゆめタウンで鳥取ラーメンを頂いた.
浦富海岸
- 浦富海岸は6000万年前,日本がまだ大陸に位置していたの時代に形成された花こう岩が主体の海岸である.山陰海岸ジオパークは遊歩道が整備されており,様々な自然や文化に触れることができる.
14:30に浦富海岸に.まずは千貫松島へ.この島には,鳥取城二代目藩主池田綱清公が船で島巡りをした際,「わが庭にこの岩つきの松を移せた者に銀千貫を呈す」と言われたことから千貫松島と名付けられたという逸話が残っている.
千貫松島から東に向けてアップダウンの激しい遊歩道を進むと鴨ヶ磯にたどり着く.ここでは節理に沿って海食洞が形成されている様子が確認できる.
砂浜は石英が主体となっている.浜を構成する砂からも後背地の推定ができる.
海と大地の自然館
二日間で向かうジオパークについてさらに勉強.
浦富海岸で見た花崗岩のサンプルを観察.見慣れた山陽地方の花崗岩との違いについて語り合う.入館無料であったにもかかわらず,薄片や標本が充実しており,一時間ほど滞在.
18:30香住駅近くの中華料理店”白龍”にて少し早めの夕食.おや?昨年度修了したはずのOBさんが・・・近くまで巡検に来たのでせっかくならと,夕食を共に.半年ぶりに会う修了生さんと貴重な時間を過ごす.
城崎温泉
本巡検は翌日の玄武洞までのアクセスを考え”城崎温泉東山荘”に宿泊.城崎温泉名物の外湯めぐりを.1300年の歴史を感じさせる町並み...
文化の中に入り込んだ一枚.タイムスリップしたかのよう.ジオパークの歴史的な価値を肌で実感する.
二日目
玄武洞
- 玄武洞では160万年前に起こった火山活動によって流れ出したマグマが冷えて固まる時に形成された柱状節理が観察できる.この柱状節理が亀の甲羅に見えたり,蛇の体のように見えたことからこの場所は「玄武洞」と命名された.そして,この玄武洞を構成している岩石を「玄武岩」と呼ぶようになったのである.
玄武洞に向かって右へ進むと青龍洞につながる.ここでは玄武洞よりも長い柱状節理が形成されている.
玄武洞に向かって左へ進むと朱雀洞,白虎洞へとつながる.白虎洞や朱雀洞は玄武洞,青龍洞とは異なって洞窟を形成している岩石に触れることができる.六角柱状節理が形成されている.想像していたよりもかなり大きいサイズ.
南朱雀洞では岩石に固結する寸前にマグマ中のガスが抜けたことによってできた穴が開いている岩石が見られる.
蟹がいっぱいいた.すでに茹でてあるかのような赤色.
近くの玄武洞ミュージアムの椅子.六角柱状節理の猛プッシュ.
立岩
- 立岩は約1,600万年前に形成された安山岩の一枚岩.31代用明天皇の皇子で聖徳太子の異母弟といわれている麻呂子親王の鬼退治伝が伝わる地である.
ここでも柱状節理を見ることができる.
立岩付近の砂の様子.浦富海岸と同じように石英が主体であるが,浦富海岸の砂と比較して円磨度が高く,粒径も大きい特徴があった.
少し遅くなったがお昼に.今回はここ,丹後ひもの屋に.
海鮮丼が絶品.しかも何気にお味噌汁もめちゃめちゃ美味.
神戸層群を求めて
山陰から帰る途中,M1さんの研究の一環として兵庫県三木市で神戸層群の露頭の確認を行った.
しかしなかなか露頭は見つからず・・・露頭を発見することの困難さを痛感した.
天候不良によってアルプスから急遽予定を変更して山陰海岸ジオパーク巡検を行ったが,ジオパークの自然的な価値・文化的な価値を実感でき,充実した巡検となった.アルプスリベンジはいつかきっと・・・!