屋久島
■巡検概要■
9月16日 屋久島へ移動 9月17日 宮之浦岳・縄文杉日帰り縦走 9月18日 指宿・川尻海岸
屋久島
- 屋久島はほぼ全域が山地であり、1,000mから1,900m級の山々の連なりは八重岳、洋上アルプスなどと呼ばれる。海洋プレートの沈み込み帯に位置し,その付加体である堆積岩に花崗岩が貫入してできた島である。西には活火山の口永良部島,東には付加体のみでできた種子島があり,日本列島の基盤をなす付加体構造の見本市のような場所である。
本巡検は花崗岩の調査のために屋久島へ向かう。
朝6時に大学を出発し,途中高速道路の通行止めに遭遇し屋久島到着が危ぶまれるも,9時間弱で鹿児島本港に到着。向かいには桜島が聳え立つ。
高速船に揺られること2時間半,ようやく屋久島に到着。海鮮丼やとび丼,とびうおの姿揚げに舌鼓を打ち4時出発に備え早めの就寝。
9月20日早朝4時,宿舎を出発。約1時間で淀川登山口へ到着。
本当なら1泊2日でアタックするコースであるが,時間の都合上日帰りの日程に。目標は生きて下山すること。相当な覚悟を胸に登山へ。
5:00 淀川登山口から登山開始。天候は小雨,暗闇の中歩みを進める。
5:35 淀川小屋へ到着。清流淀川が流れるが暗くてよく見えない...しばらくすると月明かりと朝日が共存する時間に。幻想的であった。
花之江河を目指す途中,朝日に照らされる高盤岳が見えてきた。
高盤岳山頂には豆腐岩と呼ばれる巨大な花崗岩が割れた岩石がある。花崗岩は気温の変化により膨張,収縮やしみこんだ水の凍結膨張などによって割れることがある。とくに水の凍結での作用を凍結破砕作用というようだ。
6:50 小花之江河に到着。7:05 花之江河に到着。ここまで順調なペースで進む。
花之江河は標高1600m付近にある湿原で,ミズゴケが泥炭状に堆積してできている。この種の湿地はシベリアやアラスカなどの亜寒帯地域でよく見られる。
花之江河からも高盤岳が見えた。
投石平を目指す途中水場や岩場があった。
7:50 投石平到着。タイミングよく晴れてきた。雲と朝日でなんとも神々しい写真が撮れた。
本巡検でのベストショット
先ほどの晴天とは一転,雨が降り始めたが,美しい虹が見られた。
9:15 栗生岳に到着。見上げるほどの大岩であった。が,そろそろ宮之浦岳の山頂だと思っていた一行にはなかなかのダメージ。めげずに歩みを進める。
9:45 宮之浦岳山頂に到着!登頂の余韻に浸りしばしの休憩を。
山頂から屋久島を一望。
10:05 下山を開始。時間的にまだ半分もいってないことは知らないことにしよう...
下山も長くなかなかきつい。
下山途中,屋久鹿に遭遇。ほかの鹿とは角が異なるようだ。
人になれているのか警戒心が薄い。お邪魔しているので腰を低く通してもらう。
自分より下に虹を見る機会というのはなかなかない気がする。
屋久島で巨大な蛙に遭遇。疲労困憊の一行も無駄にテンションが上がる。途中にサルにも遭遇した。人間は本当によそ者なんだなぁ。
11:55 新高塚小屋に到着。かなりのハイペース。標準コースタイムを1時間も巻いてしまった。これも日没までに下山するために仕方ない。
12:05 ほんの少しの軽食を済ませ縄文杉へ向かう。毎回休憩のときに蜂がよってくるのはなんなのか。
12:55 縄文杉到着。花崗岩と多雨の環境が生んだ巨大な杉。私たちが今どんな環境にいるのかを強く実感した。
疲れのせいか,荒川登山口から上ってきた人たちの感動具合にはかなり劣っていた気がする...
13:55 ウィルソン株に到着。古株の中は空洞であり小川が流れている。その広さは10畳にもなる。
見る角度によってハート型に見える。疲れを癒してくれるようだ。
14:25 全員が合流し下山を再開。おのおののペースで下山を進める。
14:35 トロッコ道に出た。あぁこれであとはトロッコ道だけか。
トロッコ道,そう聞くと整備された線路と思うかもしれない。実際そんな軽いもんじゃない…山道のがよかったと何度思ったか。しかもかなりの雨が降ってきた。修行だ。
15:45 小杉谷集落跡地に到着。しばし雨宿り。かなり滝が増えてきた。花崗岩帯を抜けホルンフェルス帯に入ったのだろうか。
16:50 荒川登山口へ下山完了。標準コースタイムを大幅に短縮。無事日没までに,しかも最終バスまでに下山ができた。が,このときは疲労困憊でそんなこと考える余裕はなかった。
『もう二度とこんなことはしない』
指宿・川尻海岸
前日の疲れを感じながら午前7時のフェリーで屋久島をあとにする。
9時半に鹿児島本港に到着し,ひとまずJR日本最南端の駅・西大山駅へ向かう。
バックには開聞岳。幸せを呼ぶ黄色いポストの前で記念撮影。
偶然にも電車が来た。
マンゴーサイダーとマンゴージェラートを食す。
少し南下し,川尻海岸へ。露頭を観察し,オリビンサンドを採集した。
さらに南の海の向こうには屋久島が見えた。全員で屋久島を眺め鹿児島をあとにした。