トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ ログイン

2016111213

高知・室戸

■巡検概要■
11月12日 広島大学発→大歩危→五色の浜→室戸岬着
11月13日 室戸岬発→室戸ジオパーク→広島大学着
 高知県はフィリピン海プレートとアジアプレートとの境界に位置する南海トラフに面する。また、四国は中高構造線を境に内帯・外帯に分けられるが、高知県の地質帯はすべて外帯に属していることになる。外帯はみかぶ構造線、仏像構造線という走行方向の断層によって北から三波川変成帯、秩父帯、四万十帯の3つにわけられており、室戸は四万十帯に属する。

本巡検は大学院の授業として行われ、地研の学生もそれに同行した。高知の巡検は2012年、2015年にも行っているため、巡検ガイドはそちらもご覧ください。2012年高知巡検  2015年高知足摺巡検

朝7時半に大学を出発し、11時頃に大歩危に到着した。

 大歩危

 ここでは三波川変成岩が広く分布している。とくに大歩危周辺では三波川変成岩類のうち砂質片岩が多く分布している。

海洋底の堆積物がプレート運動に伴う強い力を受けて変成したものであるため、レンズ上の岩石や鏡肌(slickenside)が見られる。

 五色の浜

13時半頃、五色の浜(高知県土佐市)に到着。駐車場から少し歩いたとこに、浜へ降りる階段がある。

五色の浜は「横浪メランジュ」を見ることができる。メランジュは含礫泥岩を主体としており、その他遠洋性のチャートが観察できる。

階段を降りたところから北へ進むと展望台がみえ、展望台を越えるとメランジュの北端が見えてくる。

展望台に登る斜面は岩が鋭利で手が切れやすい、手袋の着用がオススメ。

展望台より、メランジュ北端を望む。

メランジュ北端は須崎層の砂泥互層と接する。

砂泥互層中には級化層理や流痕が発達する。

更にすすむと、須崎層中の砂泥互層と砂岩層の境界がある。(写真下が砂泥互層、上が砂岩層)

階段を降りたところまで引き返し、今度は南側へ。(14時半)

波の押し引きを見極めて通る難所。巡検職人達の技が光る。

ロープを使って登る難所。巡検職人の技が更に光る。

更に南に進むとメランジュの南端が見え、遠洋性チャートの壁が見える・・・

はずだったのだが、潮位が高かった為、先に進むのを断念。(15時半)

気象庁のデータによると・・・

2016/11/12 16:00 須崎 潮位:194cm

この日の満潮は16:04、行かれる方は参考に。

遠くにチャートの壁を望む。

 室戸ジオパーク

2日目は室戸ジオパークを巡る。

室戸ジオパークは2008年に日本ジオパーク、2011年に世界ジオパークに認定された。

日沖丸山海岸

ここでは枕状溶岩の転石が見られる。

枕状溶岩は玄武岩の海底火山の噴火や、溶岩が海に流れ込んだときに形成される。溶岩が水によって急冷されることで枕のように丸く積み重なった形となる。

このポイントでは枕状溶岩の断面も見られ、殻である急冷縁が見られる。

ビシャゴ岩

ビシャゴ岩は約1400万年前に貫入したハンレイ岩体。貫入時は水平に貫入したが、その後、地殻変動でほぼ垂直に回転している。

水平に貫入した際、地表に近い部分は冷却が速く、地表から遠い部分は冷却が遅い。その為、陸側から順に細粒〜粗粒に移り変わる。

タフォニ(Tafoni)

岩盤の表面にあいた穴。穴は円形や楕円形で直径は1〜数cm程。岩石の小さな隙間に海水が染み込み、その海水が蒸発するときにできる塩類が成長することで岩石が引張破壊を受け形成される。

ヤッコカンザシの群体

ヤッコカンザシ(Spirobranchus kraussii)はケヤリムシ目カンザシゴカイ科の生物で、石灰質のからで棲管を作り、その中に住む。

室戸岬では高さが異なる複数の箇所にヤッコカンザシの群体が見つかることから、複数回の海面変動が起こったことが分かる。これはプレートの沈み込みによって南海トラフに起因する地震が繰り返し起き、大地の隆起と沈降をくりかえし隆起した証拠といえる。(赤矢印は群体、青矢印は現在の海面)

タービダイト層

室戸岬先端部ではタービダイト層が発達する。

乱泥流によって形成されたタービダイトがプレートの運動によって付加体となっているため、褶曲なども発達する。

行当岬

「キラメッセ室戸」裏の海岸へ。

流痕や生痕などが見られる。

巡検アルバム

だるま朝日 @室戸岬

それを撮る人

岩の上より @室戸岬

それを撮る人