吉備層群(古第三系)・浪形層(新第三系)
吉備高原面と呼ばれる標高約500m〜700mの隆起準平原面上に形成された地層群をめぐる。
ポイント1|赤磐市吉井B&G海洋センター
日本列島がまだ大陸の一部だった頃に,流れていた河川の堆積物。
この河川は古第三紀の堆積物の分布調査から,美作市辺りから吉井B&G海洋センター〜和気町〜赤磐市を経由して現在の岡山市東区へと流れていたと考えられている。
吉井B&G海洋センターでは,舞鶴層群(ペルム系)の粘板岩の上に不整合に厚い礫層が堆積している様子を観察でき、堆積環境としてはプロキシマルな扇状地といったところ。
ポイント2|山上公園
岡山市北区山上の山上公園近くにある露頭で、草木がかなり茂っているので近づくのは苦労しました。
生い茂る蔦と、多量のひっつきむしに阻まれて、とりあえずは遠くから露頭の観察。
やっぱり我慢できずに近づいてしまった。
礫による基底の浸食にはじまり、頻繁な上方細粒化という辺りで、網状河川の堆積物と考えられる。
ポイント3|浪形層
2日目は、矢掛町の方で、浪形層の見学。
浪形層は従来中新統とされてきたが、最近の研究では古第三系かもしれない、ということになっているようです。
ポイント3は、山ノ上公会堂そばの県道野上矢掛線に露出する浪形層。
完全にモルタル吹付だと思っていましたが、よく観察すると石灰質な堆積物でした。
近くには浪形岩でつくった常夜灯(矢掛町指定重要文化財)があり、案内板には地質学の研究上、貴重な資料である、と書かれていたが、なぜ貴重でなぜ常夜灯なのか、よくわからなかった。
不思議なのは、標高240mあたりから260mあたりにかけて、県道沿いに基盤岩と浪形層が交互に現れて、どういう形の不整合になっているのかよく理解できない所。
非常に高角度で接している所もありました。
ポイント4|千手院
続いて浪形岩で有名な千手院を訪れる。
境内のメインは立派な石灰質な浪形岩ですが、池のそばで砂質な堆積物から石灰質な堆積物へと移り変わる岩相が見られます。
ポイント5|子安観音(井原ゴルフ倶楽部そば)
地理院地図では浪形地区と表記があるので、浪形層の模式地と思われる場所。
露頭下部は、貝殻破片で構成された塊状の堆積物で、パイプ状の生痕化石がたくさんで、前浜の堆積物といった所。岩石名としては砂岩というか石灰岩というべきか。上部の方は縞状になっているのが確認できる。
道路沿いに標高を下げていくと、こちらも千手院と同様、石灰質な堆積物の下位には砂質な層があることが判明。
さらに標高を下げていくと、浪形コミュニティ広場という場所に出て、ここの説明版で浪形岩が古墳時代には石材として非常に活用されたことがわかった。
浪形コミュニティ広場はかなり草ぼうぼうですが、奥にある露頭内には鍾乳洞的な洞窟が広がり、ちょっと不思議な空間です。
洞窟内にはノッチ的な浸食が認められる。
季節柄?藪を通り抜けると膨大なひっつきむしにやられる。