薄片観察
偏光顕微鏡による火成岩の造岩鉱物の薄片観察を,Webブラウザを利用してPCやタブレット,スマートフォンなどから閲覧可能にしたものです。
画面左下の青丸をクリックすることで,オープン/クロスを切り替えることができます。
カンラン石

オープン

クロス
カンラン石(Olivine)の形と特徴
玄武岩やはんれい岩などの塩基性の火成岩に見られる鉱物。
丸い形や紡錘形を示すことが多い。
1方向に劈開が見られることがある。

オープンでの観察
オープンで観察した際には,無色透明だが,鉱物の周囲が風化して茶色になっていることが多い。

クロスでの観察
クロスで観察すると,様々な色に変更するが,鮮やかなピンク色~青に偏光するのが特徴的である。
劈開が見られる場合は,劈開が縦あるいは真横に向いた時に消光(直消光)である。


単斜輝石

オープン

クロス
単斜輝石(Clinopyroxene)の形と特徴
玄武岩やはんれい岩などの塩基性の火成岩に見られ,細長いことの多い角閃石に比べると,コロコロっとした短柱形をしている。結晶中に90度で交わる2方向の劈開を観察できる場合もある。
カルシウム成分をかなり含む単斜輝石(clinopyroxene)と,ほとんど含まない斜方輝石(orthopyroxene)に区分される。

オープンでの観察
オープンでは無色~うすい緑色に見え,屈折率が高いため周りの鉱物より少し飛び出して見える。

クロスでの観察
クロスで観察すると,黄色~オレンジ色に偏光し,単斜輝石の場合は,劈開が斜めに向いた時に消光(斜消光)する。
斜方輝石

オープン

クロス
斜方輝石(Orthopyroxene)の形と特徴
玄武岩やはんれい岩などの塩基性の火成岩に見られ,細長いことの多い角閃石に比べると,コロコロっとした短柱形をしている。結晶中に90度で交わる2方向の劈開を観察できる場合もある。
カルシウム成分をかなり含む単斜輝石(clinopyroxene)と,ほとんど含まない斜方輝石(orthopyroxene)に区分される。

オープンでの観察
オープンでは無色~うすい緑色に見え,屈折率が高いため周りの鉱物より少し飛び出して見える。

クロスでの観察
クロスで観察すると,黄色~オレンジ色に偏光し,斜方輝石の場合は,劈開が縦あるいは真横に向いた時に消光(直消光)する。

角閃石

オープン

クロス
角閃石(Amphibole)の形と特徴
安山岩や閃緑岩などの中性の火成岩に多く見られ,124度で交わる2方向の劈開を観察できる。
コロコロっとした形の輝石と異なり,角閃石は六角形を引き延ばしたような長柱状をしていることが多い。

オープンでの観察
屈折率が高いため,周りの鉱物より少し飛び出して見える。
回転させた時に少しだけ色が変化(多色性)するが,黒雲母と異なる点は,鉱物中の劈開が斜めに向いている時に,最も明るくなったり暗くなったりする。

クロスでの観察
黄色から青色を呈し,劈開が斜めに向いた時に消光(斜消光)する。
変成岩中に産する直閃石のように直消光するものもある。

黒雲母

オープン

クロス
黒雲母(Biotite)の形と特徴
花崗岩などの酸性~中性火成岩に含まれる鉱物。
結晶の形は一般に他形で,様々である。結晶内に著しく劈開が発達する。
鉄分を多く含む場合は緑色,チタンを多く含む場合は赤色を示す傾向が強い。

オープンでの観察
オープンで回転させると,黒雲母中に見えるひび割れ(劈開)が横になった時,黒雲母の色が褐色の濃い色,縦になった時に淡い色へと変化する黒雲母の多色性(茶~緑)が観察できる。
ただ,劈開面が薄片と平行になっている場合は,劈開を観察することができず,多色性もほとんど確認できない。

クロスでの観察
黄色や青色に見え,回転させると劈開が縦あるいは真横になった際に消光(直消光)する。

斜長石

オープン

クロス
斜長石(Plagioclase)の形と特徴
ほとんどの火成岩に普遍的に含まれる鉱物で,一般的に長柱状の自形を示すことが多い。

オープンでの観察
オープンでは無色透明であるが,風化や変質によって表面がざらっとしているため,クロスの消光の仕方の違いで石英と識別しておくと,表面の質感の違いで石英と区別することができる。

クロスでの観察
多くの場合,双晶しておりクロスで回転させると,白と黒のストライプ模様(アルバイト双晶)を観察できる。特に火山岩中の斑晶では,同心円状にストライプとなった累帯構造として観察される。

斜長石の累帯構造

オープン

クロス
斜長石が成長していく過程で,最初に形成された中心部から周辺部に向かって,成分が変化していく様子が累帯構造として観察される。

カリ長石
カリ長石は,同じ化学組成(KAlSi3O8)を持ち,結晶構造の異なる微斜長石と正長石が存在する。
単斜晶系の正長石の方が三斜晶系の微斜長石より高温相であり,深成岩が形成される際にマグマだまりが徐冷されると最終的にはすべて微斜長石へと相転移するはずであるが,正長石から微斜長石への転移は非常にゆっくりとした現象であるため,岩体のサイズ等が原因で冷却速度が比較的早い場合には正長石のまま残ることもありうる。
カリ長石は,Na成分を多く含む斜長石(曹長石)と連続固溶体を形成するため,KとNaが混ざっている長石をアルカリ長石と呼ばれる。カリ長石(K)と曹長石(Na)の固溶体は,高温では均質に混ざっているが,温度が下がるにつれ分相してカリ長石成分に富む部分と,曹長石成分に富む部分に分かれる。この現象を離溶と呼び,カリ長石中に葉片上の曹長石が見られるパーサイト構造と呼ばれる組織が生じる。

微斜長石

オープン

クロス
微斜長石(microcline)の形と特徴
花崗岩などの酸性火成岩に含まれる鉱物。

オープンでの観察
オープンでは無色透明であるが,風化や変質によって表面がざらっとしているため,クロスの消光の仕方の違いで石英と識別しておくと,表面の質感の違いで石英と区別することができる。

クロスでの観察
クロスで回転させると,格子縞の双晶(絣模様)を示す。カリウム成分の多い部分とナトリウム成分の多い部分とが分離してできた,パーサイト構造と呼ばれる葉片(ラメラ)が見られる。
正長石

オープン

クロス
正長石(Orthoclase)の形と特徴
花崗岩などの酸性火成岩に含まれる鉱物。

オープンでの観察
オープンでは無色透明であるが,風化や変質によって表面がざらっとしているため,クロスの消光の仕方の違いで石英と識別しておくと,表面の質感の違いで石英と区別することができる。

クロスでの観察
クロスで回転させると,カリウム成分の多い部分とナトリウム成分の多い部分とが分離して,パーサイト構造と呼ばれる葉片(ラメラ)のため,破れ雑巾のよう見え方をする。

石 英

オープン

クロス
石英(Quartz)の形と特徴
花崗岩や流紋岩のような酸性の火成岩に含まれる鉱物で,オープンでは無色透明。
結晶の形は他形(他の鉱物の隙間を埋める形)をとることが多く,劈開は見られない。
斑状組織をもつ火山岩中では,角がとれて虫食い状にとかされた融食形になっていることもある。

オープンでの観察
クロスの消光の仕方で長石類と区別できるようになると,風化に強く表面のつるっとした感じで,オープンで観察した際にも斜長石やカリ長石と区別できるようになる。

クロスでの観察
クロスで回転させると,結晶全体で白~灰色~黒色へと変化し,斜長石のように結晶内でストライプ模様になったりすることはない(変成岩中の石英では消光する場所が移動する波状消光が見られることもある)。

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