内惑星の最大離角
水星や金星などの内惑星は,地球より内側の軌道を公転しているため,地球から見ると常に太陽のそばに見え,木星や土星のように真夜中に南中することはありません。そのため,内惑星を観察できるのは,太陽が沈んだ直後か昇る直前に限られるます。

下の図に示すように,地球や金星はそれぞれの公転速度で太陽の周りを公転し,金星は225日,地球は約365日で太陽の周りを一周します。ところが地球も金星も動くと,惑星の動きと見え方の変化を理解しにくいので,地球を固定して考えると,地球と金星の会合周期である583.9日で金星が太陽の周りを一回りして,再び戻って来るように見えます。

(下図をクリックして,図上でマウスを操作すると,金星の公転の様子の変化をアニメーションで表示します)

金星が太陽の向こう側にあり,金星-太陽-地球で一直線に並んだ状態を外合(がいごう)と呼び,太陽-金星-地球で一直線に並んだ状態が内合(ないごう)です。外合や内合の状態では,地球から見て,金星は太陽とほぼ同じ位置に見えるため,観測することができません。

水星や金星などの内惑星を観測する絶好のチャンスは,下の図に示すように,太陽と最も離れた位置にある最大離角の状態にある時です。その位置は,地球から内惑星の公転軌道に対して引いた接線と,内惑星の公転軌道との交点の位置に惑星がある時で,金星の場合は約47°(日没時に天頂と地平線の真ん中あたりに見える),水星の場合は約28°です。

下の図で左側にある期間は,地球の自転方向からして,お日様が沈んだ後に西の空に見える宵の明星とよばれる状態で,金星は太陽よりも東側にあるということで東方最大離角と呼ばれます。右側にある期間は,日の出前の東の空に見える明けの明星とよばれる状態で,金星は太陽の西側にあって太陽よりも先に空に昇るという意味で西方離角と呼ばれます。

金星は夕方の空に輝く一番星ですが,望遠鏡で観察すると,最大離角の時にちょうど半月型に見え,それより前は小さいけれど膨らんだ形,最大離角を過ぎると地球に近づいてくるため,三日月型に見え,視直径も大きく見えるようになります。

(下図をクリックして,図上でマウスを操作すると,軌道上の位置と大きさや形の変化をアニメーションで表示します)
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