夜空に見える星座は,地球の公転運動に伴い1日で約1°, 一ヶ月で約30°東から西へ動いていき,1年で一周する。そのため,南中した星を1ヵ月後の同じ時間に見ると,約30°西側に移動して見える。 金星は,東から西へ動いていく星座の中を,西から東へ(背景となる星空の中を右から左側へ向かって)運動=順行していくように見える(図1)。 図1 外合付近を公転する金星(星座の中を左側へ向かって順行している) 図2 東方最大離角をこえたあたり(まだ星座の中を左側へ向かって順行している) 最大離角をこえたあたりで背景の星座と同じ方向に動いて見える。動画で観察すると,金星が目印の黄色く輝く星と同じように画面を左から右に向かって移動し,星座の中で止まって見える留と呼ばれる状態が発生する(図3)。 図3 内合に向かって(黄色い星と同じように右側へ移動(逆行)している) 内合付近で地球の手前を横切る際には,金星の公転速度の方が地球の公転速度より速いため,星座の星々の動きを追い越して東から西へ(背景となる星空の中を左から右側へ向かって)運動=逆行していくように見える(図4)。 図4 内合をこえて(黄色い星を追い越したように見える) そして再び,星座の中で止まって見える留と呼ばれる状態が発生した後,いつものように西から東へ(背景となる星空の中を右から左側へ向かって)運動=順行していくように見えるようになる(図5)。 図5 西方最大離角付近(再び,星座の中を左側へ向かって順行し始める) 金星の公転に伴い,金星の位置が背景となる星座の中で動いて見えるということが理解できましたら,実際,地表からの視点で金星が星々の中をどのように移動して見えるか確認しましょう(わかりやすいように金星のサイズを大きく表示しています)。 地球視点からの金星の巡行・留・逆行 遠くの恒星と異なり,太陽の周りを公転する太陽系の惑星たちを地表から観察すると,星座の中を行ったり来たりと不思議な動きをすることから、天空を惑うあるいはさまよう星ということで「惑星」の名前が誕生しました。 |