みかけの傾斜
地層を調べたり,地質図や断面図を作成する上で,地層の走向と傾斜は最も基礎的な情報である。地層の傾きは,走向と直交した断面で切断した際に真の傾斜として現れるものの,断面線と走向が直交以外の場合には,実際の地層の傾きよりもゆるく傾斜して見える(みかけの傾斜)。
地層の傾斜(走向と直交する)方向と断面線とのなす角を“斜交角”と呼び,これが0°の場合には地層の傾斜がそのまま断面図の傾斜として表現される。斜交角が0°以外の場合は,地層の傾斜が断面図に表現されない“みかけの傾斜”となり,真の傾斜よりも小さい傾斜角を示すようになる。極端に言えば,斜交角が90°(断面線が走向と平行している)の場合,地層がどんなに傾いていたとしても,断面図上では水平な層として表現される。
以下,45°で傾斜した層が,南北(NS),N30°E,N60°E,東西(EW)へと走向を変化させた際に,東西方向の断面(S面)上にどのように現れるかを示す。
断面と走向が直交する場合|斜交角0°
地層の傾斜(45°)がそのまま断面図に現れる
(リンク先の図上でマウスを操作すると様々な角度から観察できます)
断面と走向が60°で斜交する場合|斜交角30°
地層の傾斜(45°)よりも小さな傾斜(約40.9°)となって断面図に現れる
(リンク先の図上でマウスを操作すると様々な角度から観察できます)
断面と走向が30°で斜交する場合|斜交角60°
地層の傾斜(45°)よりも小さな傾斜(約26.6°)となって断面図に現れる
(リンク先の図上でマウスを操作すると様々な角度から観察できます)
断面と走向が平行する場合|斜交角90°
地層は水平境界として断面図に現れる
(リンク先の図上でマウスを操作すると様々な角度から観察できます)