!!!淡路島 6月の巡検の際に,山の中と海岸線をさんざん探し回るも,結局見つけることができなかった伝説の不整合露頭(和泉層群と大阪層群の不整合)をどうしても観察したいという熱い想い一つで再び淡路島へ. 合わせて,参加する学生のそれぞれの研究テーマに沿った露頭の観察も行いました. !!伝説の不整合露頭へ 前回は,シームレス地質図の地質境界を参考に,淡路島南部に見られる大阪層群の最南端あたりで境界を探したが,谷の南側が和泉層群で,北側に大阪層群が見られたものの,ここが境界というジャストな露頭を見つけることができなかった。 今回は,海水浴場への交通誘導のおじさんに強制的に海水浴場の駐車場へと誘導されながらも,なんとか淡路島南部阿万海水浴場の南東1kmのところにある不整合にたどり着くことができた. {{ref_image DSCF4799.jpg}} 川の向こう岸の和泉層群の露頭の上に,ちょこっと礫が乗っているのを見つけた。 {{ref_image DSCF4771.jpg}} これが前回見つけられなかった傾斜不整合露頭。 {{ref_image DSCF4768.jpg}} 伝説の不整合露頭を前に記録にいそしむ。 {{ref_image DSCF4789.jpg}} 不整合より南側(上位)は,大阪層群の礫層となっている。 {{ref_image DSCF4783.jpg}} 膨大な層厚の大阪層群の礫層が続いている。 !!絵島・大和島(古第三系神戸層群) 淡路島を縦断し,14時20分絵島に到着.絵島・大和島では,淡路島北部に分布する神戸層群下部の岩屋累層が観察できる. 神戸層群はかつて中新統とされていたが,近年堆積年代の見直しが進んでいる.岩屋累層では海棲微化石および貝類化石から始新統であることが明らかとなっている. {{ref_image DSCF4807.JPG}} 絵島は古事記に登場する最初の島である”オノコロ島”ともされる由緒正しきところ. フェンスがあって島を近くで見ることはできない.高級淡路ビーフの店のいい匂いをかぎながら大和島へ. {{ref_image DSCF4815.JPG}} 絵島の南方250mのところにある大和島は,間近で露頭観察可能. 海水浴客の冷たい視線は気にせず,露頭観察に勤しむ. {{ref_image DSCF4839.JPG}} 露頭下部は極粗粒のアルコース質砂岩からなる.供給源となる花崗岩が近傍に分布していたことが推定される. {{ref_image DSCF4824.JPG}} きれいに整列する礫.厚さは大きく見積もっても10cmほど. {{ref_image _DSC0659.JPG}} 砂岩層の上には礫岩が1m弱累重している.砂岩礫がよく見られ,円磨も進んでいることからアルコース質砂岩とは異なる後背地から供給された堆積物と判断される. 小さな島のなかで岩相の変化と空間的広がりを実感できる学生実習にはもってこいの場所でした. !!領家新期花崗岩類 大和島から海岸線に沿って車で10分ほど南下した地点.海水浴場を進んだ奥に基盤の花崗岩類が確認できる. 淡路島の基盤は領家花崗岩類であり,この地点では塊状の領家新期花崗岩類が産出している. {{ref_image DSCF0771.JPG}} {{ref_image DSCF4844.JPG}} 海水浴場に似合わない重装備で観察に.砂岩と花崗岩類が複雑に入り混じっている様子が確認できた. {{ref_image _DSC0671.JPG}} 非常にシャープな境界となっている.砂岩が部分的に花崗岩化作用を受けたのだろうか... このように堆積岩と花崗岩類のシャープな境界は,同じ領家帯に属する柳井−大島地域でも確認できる. {{ref_image DSCF4849.JPG}} 部分的に斑レイ岩の岩体も. {{ref_image DSCF4865.JPG}} 最後は荒波をバックに記念撮影. 日帰りの淡路島でしたが,それぞれの目的が達成できて良い巡検となりました.